ピンクハウス ドレス
ピンクハウスのドレスに夢見る少女も多いようですが、1989年に発表された、松田聖子さんのアルバム「PRECIOUS MOMENT」のジャケット写真をご記憶の方はいるでしょうか。
フードのついた白いフリルのドレスを着て、ほほ笑む彼女はまるで、俗世間から離れたお姫様のようです。
もともと、ベビーフェイスと評されていた聖子さんではありますが、周知のようにこのとき、実生活ではすでに一児のママでもありました。
そんな当人の現実の生活や年齢のことなど、飛んでしまうべく魔法をかけていたこのドレスこそ、金子功氏が立ち上げた、「ピンクハウス」ブランドのものなのです。
「女の子が大好きな色・大好きなものを、沢山集めたお店を作りたい」という金子氏のコンセプトの集大成が1979年に建てられた「ピンクハウス(PINK HOUSE)」のお店であり、そこにあるドレスをはじめとするフワフワとしたメルヘンチックなテイストの品々でした。
聖子さんも独立後、初めてリリースしたアルバムのジャケットの為に、このドレスを選んだところを察するに、彼女自身のピンクハウスに対する思い入れも、深かったことでしょう。
その後、彼女もまた、オリジナルブランドを出店するに至るのですが、そこでのドレスも、ピンクハウス的なテイストのものが、多々見受けられました。
風になびくフリル・大きなリボン・歩くとふわりと広がる長いスカートといった、夢見る少女のために、仕立てられたような「ピンクハウス」のドレスたち。
女性の社会進出にともない、それまでの沢山の布幅をとった、デコラティブなドレスに代わり仕事着としてのシャネル・スーツが台頭した歴史の流れを感じます。
その一方、金子氏の創る「ピンクハウス」のドレスにはむしろそれに逆行する、ヨーロッパ・アンテイークの世界への、回帰のようなようなものが感じられます。
しかしピンクハウスのドレスのデザイナーでありプランナーでもある彼自身は、「(僕は)服には今の服、昔の服という分け方はないと思う」と明言しています。
設立から、20年以上もの歳月を経てもファッション業界のなかでキュートに不動の地位を保つピンクハウス、もちろん昨今のトレンドにあう、ジーンズやスパッツに合わせられるような短い丈のワンピースなども続々と発表されています。
でも昔とタッチは変われど、可愛さはそのままです。流行は確かに社会背景とともに変わっていくものではありますが、いつの時代でも愛され続けるものは同じです。
どこかノスタルジックでありながら、新しさへの追求も表わされている作品のドレスたちは今日もピンクハウスのショーウインドーで何かを語りかけています。
その「何か」に共通するのは・・・いつ、どんな時代にあっても『自分が女の子(女性)であってよかった』と思えるものなのかもしれません。